マッドマックス2(1981年)
初代「マッドマックス」の成功から2年後、満を持して登場した続編が「マッドマックス2」です。ジョージ・ミラーは前作の成功の良い面だけではなく、批評にも注意深く目を通し、商業に与えた影響にも着目したようです。マッドマックスシリーズは『怒りのデス・ロート』まで3作ありますが、2作目が文化に与えた影響は計り知れません。
マッドマックス2のあらすじ
最初は、北部民族の老人の回想から始まります。彼は幼い頃に出会った一人の勇者”マックス”についての話をはじめました。
彼は幼少期、フェラル・キッドと呼ばれていました。前作のあとに起こった世界大戦によって人類が築いた文明はあっけなく滅び、見渡す限り砂漠の世界。戦争で枯渇した石油を巡って争いが絶えず、まさしく世紀末の状態でした。
警官だったマックスは、前作で家族を亡くして希望を失い、失意にのまれていました。愛犬とともにV8インターセプターに乗って放浪する日々を送っていましたが、そのインターセプターの燃料を狙った襲撃に遭います。この場では暴走族を返り討ちにしたマックスでしたが、その後から石油をめぐった争奪戦に身を投じていきます。
「英雄の旅」と「世紀末」の融合
この作品とは切り離せないので、軽く物語理論の話をさせてください。人間が惹きつけられる物語にはある程度の型があるといわれていて、その一つが、ジョセフ・キャンベルが提唱する「英雄の旅(Hero’s Journey)」という型です。
「英雄の旅」とは、端的に言うと、主人公が日常から別の非日常へ移動し、試練を経て、再び日常へ帰ってくる、という円環状の構成です。古代の英雄譚を紐解いてみると、ほとんどがこの型に沿って作られています。
ジョージ・ミラーもまたこの考え方に影響を受けて「マッドマックス2」のストーリーを作成したようです。「マッドマックス2」もまた、後世のクリエイターに大きな影響を与えました。
日本の有名どころでいえば、漫画『北斗の拳』がマッドマックス2に多大な影響を与えていることは作者が公言するところです。多くの著名クリエイターが、影響を受けた作品として『マッドマックス2』の名を挙げています。
「世紀末」という設定は、マッドマックス以前にも存在し、別に目新しいものではありませんでした。しかし、人々が愛するストーリー構成とうまく融合させ、後にさまざまなクリエイターに影響を与える独特の世界観を生み出したのです。